解雇の金銭解決について真面目に考えてみた

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解雇の金銭解決、これは難しい問題です。

今現在私も少しだけ絡んでいる問題ではありますが、実際に紛争に携わったことのある人間はどのように感じるのか、それを社会に知ってもらう意味は大きいとみてこの記事を書きます。

 

解雇、雇い止めの解決手段は、今現状でもほとんどが金銭解決

これに尽きます。解雇撤回の紛争で本当に解雇撤回を勝ち取ろうとする人間なんてほとんど存在しません。解雇になるということはそれなりの感情的なもつれなどが原因で起きます。

 

ごく一部の解雇撤回を求める人もいる

ですが全員が全員金銭で納得するわけではありません。特に長年働いてきて、ちょっとした感情のもつれでクビを宣告された方は会社に愛着があるわけです。そういった場合は、会社に残る、あるいは会社に残った後に組合を立ち上げる、なんていうこともありえるわけです。

結論的に言うと、全面的に金銭解決を導入すると、労働者にとっての選択肢が減るということになるのです。

 

中小零細企業となると、「もうお前クビや。明日からこんでいい。」の一言で済まされることが多い。金銭なんて話は一切出てこない。今ですら解雇予告手当とか最低限のルールすら守られてないにもかかわらず、金銭解決なんて浸透するのだろうか。

 

闘いを学ぶためには紛争を

 

私はこのようは金銭解決は反対である。

労使間の紛争では、最終的にいくらで納得するのかは非常に大事ではあるが、それ以上に他に多くのことを学ぶことができる。それを通り越し、金を払えば来なくていいとなると、学ぶ機会が失われてしまう。

金銭解決なんて聞こえはいい。しかし現状のままで、泥臭いのだけども自分の力で権利を勝ち取るという努力の大切さをもっと広めないといけないのだと思う。

男性の育児休業促進について

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男性の育児休業を促進するために、厚生労働省が来年度の概算要求に計上したとのことです。果たしてどのような結果になるんでしょうか。

 

これも本来は労使間で協議すべきこと

本来は労使で協議し、休みたいときに休むというのが本来のあり方だと思います。

現行の法律でも、男性であったとしても育児休業はとらせないといけないという制度になっていますから、労使間で力関係が均衡するような政策をとるのが一番かと思います。(育児休業に限らずともですがね)

しかしながらこれを機に少しでも経営の側が育児休業を取得するように促してくれればいいという願いがあるのでしょう。少しでも。それにしても29億は高すぎると思いますが。

 

助成金の最大の障壁は・・・残業代なんですけどねw

実務絡んでらっしゃる方はお分かりかと思いますが、助成金を受けるときに一番ネックになるのが、「受給要件を満たすかどうか」じゃなくて「労働法を順守しているか」なんですよね。男性に育児休業を取得させたら15万円支給します、なんて言われても、残業代を法律通りに計算したら15万は軽く超えました、みたいな馬鹿話ばかりですからね。

そこで我々のような専門家が登場するのですが、いったん契約した労働条件は不利益変更しづらいので、そこでつまづくことが多いのです。

 

結局資本に余力のある会社しか利用できない

以上を総合すると、そういうことです。ヒト、モノ、金が慢性的に不足している中小零細企業にはあまり朗報とは言えないのではないでしょうか。

もちろん残業代を払わなくていいという話ではありませんが、もうちょっと余力のない会社にも利用できるような制度にしてもらえないかなと思います。合法的に基本給を下げて固定残業代をつけるようなやり方もありますが、従業員はよく見てますよ。ああこの会社ってこういう会社なんだ。。。社長ってそういう人なんだ。。。って思われてもいいだというならいくらでもコンサルしますけどもね!

 

 

育児休業を取っただけで、30万円支給します!みたいな単純なものができないかなー。まあ絶対にないでしょう!

雇用保険に加入させるための注意点

 

 

 

雇用保険を入れようと思う」

今までパートなどには雇用保険を適用させてなかった事業所がついに動いた。

 

雇用保険の加入要件

 

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 31日以上の雇用の見込みがあること

平成27年現在、この2つを満たすか満たさないかで雇用保険を適用させるかどうかが決まります。

この決まりによって、労働時間が短いパート、アルバイトも雇用保険に加入することができます。

 

昼間学生は適用除外!

 

上記の2つを満たせば、雇用保険の適用は可能になるのですが、実は雇用保険には適用除外者がありますので注意が必要です。

 

① 65歳に達した日以後に新たに雇用される者
② 短時間労働者であって、季節的に雇用される者又は短期の雇用に就くことを常態とする者(日雇労働被保険者に該当する者を除く。)
日雇労働者であって、適用区域に居住し適用事業に雇用される等の要件に該当しない者
④ 4ヵ月以内の期間を予定して行われる季節的事業に雇用される者
船員保険の被保険者
⑥ 国、都道府県、市町村等に正規職員として雇用される者

参照元

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/12/dl/s1205-8b_0002.pdf#search='%E9%9B%87%E7%94%A8%E4%BF%9D%E9%99%BA+%E9%81%A9%E7%94%A8%E9%99%A4%E5%A4%96'

 

厚生労働省の資料には書いてありませんが、昼間学生も原則として適用除外となります!例外として、内定から卒業するまでの間は、加入することができます。)

 

 

20時間ぎりぎりの方の対応

中には週の労働時間が20時間ぎりぎりの方がいます。さらには、シフトなどで、超える週もあるが、下回る週があったりと、所定労働時間が曖昧な方がいます。

こういう方への対応はどうするべきなのでしょうか。

まずは所定外労働時間を決めます。1週当たり何時間にするのか、21時間なのか、19時間なのか。所定外労働時間を設定し、雇用保険の加入の可否を決めた後、所定外労働時間に従って所定外労働時間を決めるのがよいでしょう。

 

今更だが佐野研二郎事件について

五輪エンブレムで世間をにぎわせている佐野研二郎氏ですが、大分落ち着いてきたところでしょうか。

 

このまま発展なく終わりそうな気配です。そもそも、佐野研二郎氏ももちろん問題ではあるが、問題の本質はいわゆる利権の構図にあると思っている。

 

パクリそのものは悪いことではない

例えば社会科学の世界では、先人の文献を活用し、応用して自らの理論を打ち立てることで発展してきた経緯がある。それは参考文献という形で引用されるのだが。

もちろん文章まで丸パクりはありえないのだが、少なくとも理論の一部分については継承するというのは大いにありえる。というかそれなしに人類の知的分野における発展というのは絶対にありえない。

パクりそのものは悪いことではない。むしろどの作品に影響を受けたのか、そういったものはすべて説明できなければならないだろう。特に今回の問題に関しては、「1964年のエンブレムへのリスペクト」があって、前作のエンブレムを継承した旨は言っていたが、別の要素は一切入っていないというのはさすがに無理があるだろう。

 

選考は出来レースだった

問題はそもそもこちらのほう。

そもそもデザインの公募にあたって、いくつかの賞を取っておかないと応募できない仕組み、さらにはその賞すらもデザイナー界という非常に狭い世界での賞だったという。

決定打としては、もともとのデザインがあって、それに似たものがあったので2回ほど修正をしたという。それってもう佐野氏でハナから決定してたってこと。しかしああいう狭い世界であれば当然起こりうることではある。

 

利権の構図にメスが入らない限り、こういった問題は必ず繰り返す。

オリンピックを誰が仕切るのか、誰が権限を持っているのか、そういったところにあいまいさが残る。

まあ利権の構図が判れば話は早いのだが、この世の中そうなっていない。色々な利権が複雑に絡み合っていて、どこから切り込んだら良いのかよくわからない構造となっている。今回は経済産業省電通博報堂、といった錚々たるメンバーが並んでいるが、こんなに利権が膨らんだ今、誰が切込みを入れられるのだろうか。そんな人間はいないし、今後も出てこないだろう。

 

戦後のように外部から財閥解体のような圧力がかかればいいのだが、そんなことは絶対にありえないだろう。

そして佐野研二郎氏に似た類似の事件は今後も続いていく。

 

日雇い派遣規制緩和の動き

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2012年に日雇い派遣の要件が厳しくなったことで、利用者数が激減。しかしながら再び規制緩和の動きが出てきた。

 

 

 

 

現在日雇い派遣が可能な者

 

 

 

現在日雇い派遣で就労できる者の要件としては下記の通り

  1. 60歳以上の者
  2. 昼間学生
  3. 副業として従事する者(生業収入が500万円以上の者に限る)
  4. 主たる生計者以外の者(世帯収入が500万円以上の者に限る)

このうちの4についての見直しを行うとのこと。

 

日雇い派遣の専業を行うような方々は少なからず世の中に一定数いる。そういう人たちのセーフティーネットとして日雇い派遣がかつて存在していた忌まわしき過去がある。

その悪しき過去がいまよみがえろうとしている。

 

施行規則での変更が可能

 

この年収要件に関しては、施行規則、つまり国会の可決が必要な法律ではなく、行政の内部で変更が可能らしい。

どこまでが施行規則で変更できるかは記事では定かではないが、少なくとも厳格な手続きは不要である。

 

派遣も利権まみれ

佐野健次郎のエンブレム問題もそうだが、結局は派遣も利権の構図の一つに過ぎない。建前では働き方の多様化や企業のニーズなど、聞こえがいいことを言っておきながら、ただマージンをむさぼる人身売買と同じ。戦前と構図としては一緒。出来レースなんですね。

 

 

この派遣をめぐる問題はもうどうしようもないところまで来てると思う。反対する団体は労働組合しかないが、組織率を言ってもまともに戦えない。

また戦争のようなことになって、全部解体して、一から考え直さないとダメだ。

 

・・・いや、そうなったとしてもまた同じように繰り返すだろう。歴史は常に繰り返されるから・・・。

大学生バイトが団体交渉申し入れへ

<ブラックバイト>「自腹購入」大学生が団体交渉申し入れ (毎日新聞) - Yahoo!ニュース

「ブラックバイトユニオン」は10日、大手飲食チェーン「しゃぶしゃぶ温野菜」の店舗に勤務していた首都圏の大学2年の男性が、4カ月間休みなしの勤務や高額な「自腹購入」を強いられたとして、フランチャイズ本部の「レインズインターナショナル」(横浜市)などに未払い賃金の支払いなどを求め、団体交渉を申し入れたことを公表した。レ社は「事実関係を調査している」としている。

 

 

主な争点は、未払い賃金と自費購入分の損害賠償。

細かい内容は見ていませんが、まあ会社が労働者をなめすぎたということにあるかと思います。もっと多くの方々が声を上げることで、それが会社に対しての牽制にもなります。

あとは会社の側がもっと労働法を勉強してほしい。労働法を知ることで、それそのものが抑止力となることもありますから。

介護事業所なら急げ!一般事業主行動計画のくるみん認定!

くるみん認定を受けた場合は、一定の資産に対して税制の優遇措置が得られるという制度があります。

 

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一般事業主行動計画を達成するために購入した一定の資産(次世代育成支援対策資産)について、くるみん認定を受けた場合は、認定を受けた年度において、対象資産の割増償却が可能になるそうです。

 

一般事業主行動計画とは

次世代育成支援対策推進法(以下「次世代法」)に基づき、企業が従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備や、子育てをしていない従業員も含めた多様な労働条件の整備などに取り組むに当たって、(1)計画期間、(2)目標、(3)目標達成のための対策及びその実施時期を定めるものです。
 従業員101人以上の企業には、行動計画の策定・届出、公表・周知が義務付けられています。

出典:厚生労働省

 

要するに子育てしやすい環境を作るために、会社で何でもいいんで取り組みをしてくださいね、という趣旨のようです。

 

くるみん認定とは

次世代育成支援対策推進法に基づき、行動計画を策定した企業のうち、行動計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たした企業は、申請を行うことによって「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定(くるみん認定)を受けることができます。

出典:厚生労働省

 

くるみん認定を受けることで、様々なメリットを受けることができるようになります。

 

  • 税制優遇措置

くるみん認定・プラチナくるみん認定を受けると、事業所内保育施設や授乳コーナーなど「次世代育成支援に資する一定の資産」について割増償却を行うことができる、税制優遇措置(くるみん税制)を受けることができます。

 

  • 会社のイメージアップ、優秀な従業員の採用・定着

くるみんマークを広告等に付し、厚生労働大臣から認定を受けたことを対外的に明らかにすることで、学生や社会一般へのイメージアップや優秀な従業員の採用・定着などにつながります。

(くるみんマークを付すことができるもの)
(1)商品又は役務

(2)商品、役務又は一般事業主の広告

(3)商品又は役務の取引に用いる書類又は通信

(4)一般事業主の営業所、事務所その他事業

(5)インターネットを利用した方法により公衆の閲覧に供する情報 

(6)労働者の募集の用に供する広告又は文書

 

 

 

提出期限は?

特に提出期限が定められているわけではありません。法律自体は平成37年までの時限法となっているようです。

しかし、くるみん税制を受けようとすると、平成30年3月31日までにくるみん認定を受けないといけません。

そうなりますと、遅くても平成30年1月くらいまでには計画を終わらせてそこから認定申請しなければ間に合いません。

実務上は平成29年12月末くらいまでの計画を立てて課題をクリアしないといけないこととなります。

一般事業主行動計画の計画期間は2年~10年までなので、最低2年は必要。となりますと、今の時期に計画書を提出しないといけないということになります!

 

特にくるみん税制を受けようとする場合は、対象資産がかなり限られていることに注意が必要です。

 

しかしながら介護事業を行っている業種であれば、対象資産にあてはまるものが多い(特殊浴槽や乗降補助装置付き自動車等)ため、かなりお勧めします。提出するのはタダですので。