社労士を脅かす「SmartHR」

SmartHR - すべての労務を1クリックで

 

宣伝ではありませんので。

 

私もかつて、「雇用保険の電子申請なら1件500円でいけるな。それで全国展開できないかなー」なんて思っていたことがありました。

 

そんな思いを、いや、それ以上の機能を付けて現実にしているではありませんか。

機能は2016年10月現在拡張中ではあるようですが、電子申請だけでもこのソフト使う価値がありそうです。

 

総務省のe-govは、一般人には使えない

マジで使い物になりません。(私は使いこなせますがね!)

使ったことのある方はわかると思いますが、例えば社会保険の取得届でも種類がいくつかありますw(一般とcsv方式と) 労務にほとんど携わったことのない方はここで挫折します。

労務の知識がある方ならこれ以上入っていけます。

申請書まで一応書くこともできるかな。

そのあとは書類を添付しなければなりませんので、ここで挫折します。添付する場所が、申請書に一緒に付けないといけないのですが、そこでは1つしか付けられません。ただ、2つ以上データを添付しなければならない申請については、一旦預かり票を発行し、その後にもう一度添付のみをするタブをクリックし、前の預かり票に追加し、それから申請しなければなりません。(普通の方は何を書いているかすら多分理解できないかと思います)

使えるようになればいくらか楽になりますが、それなら紙を書いて郵送したほうがはるかに早いですw(私は紙よりも早くできますがね!)

電子申請が有利に働く場合はソフトと連携している場合のみである、と断言してもいいです。e-govで申請をしようとしてはいけません。

 

社労夢は、APIに対応しております。

www.mks.jp

 

ウチは社労夢にお世話になってますので、宣伝は致しますw(バックは発生しませんが)

電子申請は、先程あげた入力作業や添付作業などが簡潔できるという大前提のみでその力が発揮されます。

社労夢には元々従業員台帳などの機能がついているため、入れ込んだ従業員情報をもとに、ワンクリックで電子申請ができるように、ソフトを作り込んでます。それが可能になるのがAPIというシステム。総務省はe-govの仕様の一部を公開しており、その仕様を市販のソフトウェアに組み込むことで、こういった簡素な利用の仕方が可能となるようです。

社労夢も進化をしており、昔は公文書のダウンロードはe-govにログインしなければなりませんでしたが、今はログインする必要がなくなりました。多少クセのあるソフトではあるものの、雇用保険の取得くらいなら1件500円でも十分お釣りが来る素晴らしいシステムです。

 

SmartHRの諸機能

さて、どれほど使い勝手がよろしいのか、少し探りを入れてみました。

元々電子申請といえども、「どーせe-govに取り込むためのデータ作成くらいしかしないんだろ」くらいに思ってました。

結論から言うと、API対応でしたw

ということは当然ワンクリックで電子申請が可能となります。素晴らしいです。

となりますと、社労士としてはかなり脅威ではあるのですが、この会社、社労士を抱き込んでます。

社労士向けに仕様を一部改定なんかしたりして、まあ、社労士会からクレームが来ないための政治的意図のため、「社労士様にも公表いただいてます」的な文言があちこちに散見されますw

社会保険労務士さま向けサービスがはじまります | SmartHR - すべての労務を1クリックで

 使ってみるとわかると思いますが、かなり親切設計です。ToDoリストなどは20項目もあり、それはいらないだろ、と思われるようなものも全て込みです。

体感としては、労務をあまり知らない社長向けというよりは、少し労務に携わったことのある従業員向け、という印象でしょうか。とにかく労務に携わったことのある方なら誰しもが「こういう便利なものがあればいいな」というものを凝縮したような作りでした。

社労夢にはない機能として、メールを送って従業員情報を、従業員本人に記入してもらう、という機能が素晴らしいと感じましたね。従業員情報の入力は、間違えやすいポイントですから、チェックするにも時間のロスがあります。それが従業員さんが直接入力するようになれば、チェックの時間が必要ありません。また、入力担当者がミスをするという精神的な負担がなくなるため、これは社労夢でも付けてほしいなと思いましたね。

 

従業員が多ければ社労夢のほうが安い。社労夢の方が現状は上。

社労士の視点で言えば、従業員が多ければ多いほど月額定額の社労夢が安いです。従業員が少なければ、SmartHRのほうが安いという事になります。

値段だけの単純比較はいけませんが、現状、社労士であれば社労夢のほうに軍配が上がりますね。何しろ電子申請が可能な申請書の対応数が圧倒的に違いますし、給与ソフトもついてたりと、老舗にはやはり今のところは敵わないと断言してもいいです。ただし、SmartHRは今後離職票などにも電子申請対応する予定があったり、給与計算機能をつけようとしていたりと、今後の動向に注目です。

 

今後の脅威について

SmartHRは、もう既存の社労士の仕事を駆逐して、提携の社労士(社労士法人スマートエイチアール)だけ一人勝ちすればいいや、というような匂いがプンプンします。

対して、元々社労夢は、社労士向けの市場なので、我々の仕事を増やすことはしても、仕事を駆逐するような手法では全く動いておりません。最近カンパニーエディションも出しているようですが、それでも社労士向けの仕切りなどの価格設定はしっかりしてくれてます。web明細などの追加機能にも、全て仕切り価格が設定されている、親切な会社です。

社労士の業界は自由化されており、無駄な仕事は駆逐されて当然な社会なのですが、だからこそSmartHRは脅威であります。

今までの非効率的な手続き業務で飯を食うことができなくなる、という危機感を多少なりとも感じながら仕事はしていかないといけないでしょうね。

【プレスリリース】総額約5億円の資金調達を実施しました | KUFU Inc.

また、資金調達の額も5億と半端な金額ではありません。これが一番の脅威かな。途中で上手くいかないみたいなことになっても、投資額を回収するために、ありとあらゆる手段を用いてくるでしょうからそうなってくると既存の社労士の出番がますます無くなっていくようなサービスがバンバン出てくるでしょうね。

 

それでも楽観的でもいいと思う

1号業務(手続代行)、2号業務(給与計算)では食べていけない、と言われている時代ですが、実はこう言われだしてもう10年位は経過してたりします。給与計算のアウトソーシングも、まあびっくりするほど増えましたが、それでも給与計算を社労士に任せたい、と言ってくださるお客さんは未だに多いのが現状です。私も結局給与計算で生き延びているようなものですし・・・。

 

今までの記事は全て意味のない結論になりますが、結局生き延びるには、地道にコツコツと信頼を築き上げていく、ということが大事なのではないかな・・・。

またもや結論がグダグダとなってしまいました。