「労働基準法は工場労働を前提とした法律であるから、ホワイトカラーの仕事に合わない」という風潮について

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一社労士が弁護士先生に対して批判をするのは気が引ける。しかしながら、やらなければならない。間違いには間違いだということははっきり述べて置かなければならないからだ。

 

この手の論旨展開をされる方は要するに「とくにホワイトカラーと呼ばれる職種はブルーカラー(工場労働者)とは異なり、個々のペースで仕事を進め、その成果が評価されるべき仕事です。」と考えておられるのであろう。

 

まずはホワイトカラーの定義がなされていないことを批判したい。

 

 

ホワイトカラーとは何か?

ホワイトカラーとは一般的に、事務職に就いている人たちを指すことが多い。背広で仕事をする、いわゆる大企業の総合職という肩書の方々という印象が強いのではないだろうか。語源としては、「White-collar、白いのこと。色彩を意味するcolorではない」-Wikipediaより-という説が有力ではあるが、これではいわゆる事務職の人間が全てホワイトカラーということになる。また、「企業体の中・下級管理者,専門職従事者,事務,ときに販売にたずさわる非現業部門の雇用労働者の総称。」-コトバンクより-ともされ、直接的な生産に携わらない人間がホワイトカラーであると定義するのもある。

実は、ホワイトカラーの定義というのは、一概に定まっているわけではないのである。かつてホワイトカラー・エグゼンプションという制度が話題になった時に、収入要件が必要だと議論されていたことがある。ホワイトカラーだから残業代を払わなくていいなどと制度設計をすると、抜け道を利用する輩が増えてしまうことがあるため、収入要件を追加する必要があったのだ。

 

 

「労働者は本当に弱者なのか?」弱者ですよ!

 

先生は弁護士という立場で、労働者側の仕事はなさったことがないのか。

私は現場で労働相談を受けることも有り、また実際に自分でも働いてきたが、総じて労働者は「弱い」のだ。有給休暇すら言い出せないのは事実だし、法で当然に義務付けられている「残業代を払ってくれ!」すら言い出せないのが現状だ。意にそぐわない職についたら辞める権利があるから、労働者は弱くない!っていうけど、それって弱者だから待遇改善すら言い出せない結果でしょ。あと介護の例を出してるが、介護は総じて賃金低いですよ。

 

 

現行法でも成果に応じた賃金の支払いは可能であるということ

結局ここが言いたいんですよね。

高度プロフェッショナル制度とか、ホワイトカラー・エグゼンプションなどの賛成派は、いつも「成果に応じた賃金」云々を全面的に押し出すんだが、それって現行法でできないの?という話になる。結論から言うと、「できる」のだ。ただ、制度設計をするのが非常に面倒(例えば何を元に成果を決めるか)なので、本気で考えると非常に難しい問題となる。だから使用者側の都合として単に残業代を払わなくていい制度を作るという話をすぐに持ち出してくる。

安易に年収いくら以上とか、そういう人間に一律に残業代は支払わなくていというのは理解できない。高度プロフェッショナル制度の年収要件は1075万円以上だが、これを現在の法定労働時間で時給換算すると10,750,000円÷2,085時間=5,155円となる。仮に1日10時間365日働かせても、時給換算で10,750,000円÷3,650時間=2,945円となる。だったら、時給2,000円くらいで働かせて、残りは成果が出たら歩合給で支払えば、現行法でも全く問題ないことがわかる。時給1,500円くらいにすれば、歩合の部分の幅はさらに広がるのだ。成果が出たら、労働も免除してあげればいい。働いてないのに給料を出すことに関しては法律上何も問題ないからだ。

 

ブルーカラーもホワイトカラーも時間管理可能

話が少し逸れたが、結局ホワイトカラーの仕事でも工場労働とあまり大差ない。例えばデータ加工のパソコン作業の仕事があったとしたら、一見ホワイトカラーであるが、毎回同じ作業をすることで、工場労働と変わらないことになる。デザインの仕事も同じ。大規模工場と違うのは、売れるか売れないかの判断を逐一しなければならないということ。要は小さい町工場をいくつか持っているみたいな状態だ。それが社内にコンパクト化されているだけ。だから、部署を統括するマネジメント層の意思決定が非常に重要になるということだ。

じゃあマネジメント層なら高度プロフェッショナル制度の対象になるじゃないかって?そんなもん新しい制度を作らずとも、現行の労働基準法41条でクリアできるだろうよw

 

 

結局トップが責任を負えばいいという

結論としてはこれにつきる。成果が出るか出ないか、それは結局売れるか売れないかと同義である。売れるか売れないかの判断は当然組織のトップが意思決定を行うわけであって、まさか下っ端の従業員がするわけではない。例えば、「4時間位でこんなデザインを仕上げてくれ」と社長は従業員に頼むとしよう。従業員の作業は売れなかったら無駄ではあるが、それは使用者に使われたゆえの「労働」なのだ。それに成果がなかったからといって、賃金の支払を免れるわけではなかろう。それは投資のようなものだ。そして、社長の判断が見事的中し、商品が見事に売れたとしよう。その場合は、社長はいくらでも自分に対して報酬を払っていい。従業員には「労働時間に見合った対価」を払うだけでいい。何も成果に応じて支払う義務なんかない。従業員に成果に応じた報酬を払いたければ払ってもいい。それは社長の自由だ。

現行法では、成果に応じて支払いたければ支払えばいいし、払いたくなければ払わなくてもいいのである。 

雇用保険 失業等給付 離職区分について

今まで私は大きなとんでもない勘違いをしていたようだ。

 

契約社員で、期間満了での退職の場合、労働者側から延長しない旨の申し出をした場合は、完全に自己都合扱いとなると思っていた。しかしながら、実際は、給付日数は自己都合扱いだが、3ヶ月の給付制限期間は無いという実態だった!

 

こんな基本的なことを知らなくて恥ずかしい思いをしてしまいました。

 

そもそもなぜこのような勘違いをしていたかというと、この場合は自ら退職する場合であっても、クーリングを経て 就職→退職→失業等給付→就職→退職・・・ みたいに、受給し続けることが出来るためだ。

そういったたぐいのことは一切できないと、ハローワークで調整しているのかと思っていた。

 

ということで、有期契約労働者の場合は、失業等給付のクーリング制度があるので、これを念頭に働くことで、より生きやすくなるのかもしれませんね。

 

そうするとキャリアアップ助成金の事も含めると、雇入れに関しては契約社員のほうが労使双方にとって有利ということになりますね。

 

新たな知恵が身につきました。

 

4/10よりキャリアアップ助成金に新たな2コースが追加されました

初めて社労士っぽく記事を書いてみたいと思います。

 

今年度の国の予算成立に合わせて、キャリアアップ助成金に追加されたものがあります。

  • V 勤務地限定正社員または職務限定正社員制度の新たな規定・適用等を助成する「多様な正社員コース」
  • VI 短時間労働者の週所定労働時間を社会保険加入ができるよう延長することを助成する「短時間労働者の週所定労働時間延長コース」

以下、詳細を見ていきましょう。

 

多様な正社員コース

① 勤務地限定正社員制度または職務限定正社員制度を新たに規定し適用した場合(1回限り40万円(30万円))
② 有期契約労働者等を、勤務地限定正社員、職務限定正社員または短時間正社員に転換または直接雇用した場合(1人あたり30万円(25万円)
正規雇用労働者を短時間正社員に転換または短時間正社員を新たに雇い入れた場合(1人あたり20万円)

 

①②は非正規社員を地域に限定した正社員に昇格させた場合に適用となる助成金です。

③は、正社員からの短時間正社員へ転換しても出ます。また、③のみ、新たな雇入れでも支給されるようです。

 

使い勝手のほどですが、正直限定正社員にするなら、普通の正規雇用転換コースを利用したほうがいいですよね。

新たな雇入れでもらえるのであれば非常に使い勝手がいいとは思いますが、そうはなかなかいきませんね。

 

短時間労働者の週所定労働時間延長コース

・週所定労働時間25時間未満の有期契約労働者等を週所定労働時間30時間以上に延長した場合に助成します。(1人あたり10万円(7.5万円)

 

具体的には、①非正規社員であること②6ヶ月以上雇用されていたものであること③社会保険の適用をしていないこと等が要件となります。

支給額が低すぎて、本当におまけ程度の助成金です。社会保険料のことを考えると、週30時間以上にすることを見送る社長さんが多いのではないでしょうか。まあ本当に必要な人材であれば正規雇用転換コースを使いますよね。

 

 

以上が平成27年度の新助成金となります。ちょっと期待していたものに比べてショボすぎて混乱してますw

 

ご興味のある方はぜひ挑戦してみましょう。もちろん相談にも乗ります!

キャリアアップ助成金 限定正社員 いつの間にか開始されてましたw

昨年の秋ごろより、キャリアアップ助成金の中に地域に限定した正社員を雇用することを盛り込むというような話があってました。

 

先日平成27年度予算が成立したので、厚生労働省のホームページを見ていたが、新着で新しく出来た様子がなかったので、放置してました。

 

今日、何気なくキャリアアップ助成金のパンフレットを見ていると、ちょっと綺麗に刷新されていたので、何気なく見ていると・・・。「地域限定正社員」なる文字がいつの間にか入ってました。

 

いや、せめてホームページで周知しろよと・・・w

ひっそりと更新されても誰も気づかないでしょうが!

 

と、いうわけで、社労士の中ではいち早く情報を掴んだと思いますので、思いっきり広報させて頂きます!

 

勤務地限定正社員とは?

「勤務する地域を限定し、都道府県を異にし、かつ転居を伴う異動をしない
者」のことを言うそうです。

 

職務限定正社員とは?

 

例:法人顧客を対象とした営業業務に従事する者

というように、職務を限定した正社員

 

 

詳細は追ってお知らせ致します。

 

キャリアアップ助成金パンフレットはこちら

とんでも記事で飯を食う阿呆どもをこき下ろす

zasshi.news.yahoo.co.jp

 

書こうと思っていた記事があったが、偶然目に入った記事があり、目を引いたので書きましょう。

 

■時給1500円になったからといって失敗する確証はない

「もしファストフード店の時給が1500円以上になればマックもロッテリアもモスもすべてのお店がつぶれる。」

そんな確証はどこにもない。筆者は具体的な数字で論拠を示しているわけでもなく、ただ単なる憶測で記事を書いているに過ぎない。憶測で世論を操作するなどというのは愚の骨頂である。「である」のと「であるかもしれない」は全く違うのだ。

 

■ふっかけは交渉の基本中の基本

団体がしたいのは要するに待遇改善であってそれ以上でもそれ以下でもない。勝手な妄想をかき立てているが、大きな裏があるわけでもない。

待遇改善で、時給1500円が獲得目標かどうかは分からない。真の獲得目標は時給1000円かもしれないし、1100円かもしれない。交渉事をやったことのある人間なら簡単にわかるが、敢えて高い金額を提示することにより、交渉を有利に進めるということなのである。筆者は自分で交渉したりとかいう経験がないのだろう。結果は勝つか負けるかわからないが、待遇改善に寄与していただきたいと思う。

 

■外野は黙ってろ

ストライキとか賃上げ要求とか、本来は労働者であれば望むことをすると、必ず叩きに入る外野が出てくる。しかもそいつらも同じ労働者であるという笑い話だ。経営者ならまだしも同じ立場である労働者だろ?お互い様という気持ちはないのだろうか。

労働者であるにもかかわらず、自分だけは特別で経営側の見方をする、そういう人間は自分のことが本当に見えてないただの阿呆としかいいようがない。

 

■結論

労働時間、賃金などに関しては、経済学の理論である需要と供給の理論は通用しない。結論的に、闘争による結果でその水準に落ち着いているにすぎないのである。これは私独自の理論でも何でも無く、歴史を見れば一目瞭然であり、同時にマルクスの理論でもある。

 

こういった方々がオピニオンリーダーみたいに情報発信すると、非常に困る。無知なら無知を認識し、あまり情報発信しないこと。無知なまま情報発信するのは私は絶対に許せない。

労使関係をみて、「政治」というものの本質がわかってきた。

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はっきりいって私には関係ない。どうでもいいのだが、ヤフーコメントに色々気になることが書いてる。そこいらをちょいと批判したい。

 

関東もんのオレだけど、橋下を応援している。 」

維新とは関係無いけど橋下さん応援してる。。。

かなり危なっかしいけど、情熱が有り魅力のある政治家です。
是々非々で自分の考えをはっきり言える、稀有な人材だと思う

 

他人事のコメントが非常に多く、しかもそれに賛同する意見が多いというのに非常に違和感を感じた。

まあ昔の私なら同じように賛同したでしょうが。

 

会社と労働者の利益は相反するもの

よく勘違いしているのが、「あの政治家なら日本を良くしてくれる」と、思う方々のこと。

労使間を実際に現場で見ている私の立場からすると、ブラック企業も、そこで訴えを起こす労働者も、どちらも正しいことをやっているということだ。企業は利益をあげなければ存続できないし、存続できなければ各ステークホルダーに迷惑をかける事となるので、長時間働かせて利益を出すことは正しい。労働者は、ある一定以上の余暇が必要だし、それに合わせて賃金を上げてもらうことが正しい。どちらも正しい。

結局その妥協点として、週40時間労働や、最低賃金があるに過ぎない。それが社会の合意と成り立っているだけなのである。

 

自民党、維新は労働側ではない

おかしいと思うのは、労働者であるにもかかわらず、自民党に票を入れたり、維新を応援するということ。

自民党は見ての通り経団連などの経営側の政党である。維新の労働観というのは、これまで報道等で知られたとおり労組を絶対的に敵対視するような姿勢であり、大勢の労働者の利益とは到底成り得ないものを持っている。

 

 

政治というのはズバリ自分の置かれている立場を認識し、自分の利益になる政党に投票すること。

この辺を勘違いし、自民党に投票する労働者が後を絶たないが、御存知の通りアベノミクスで恩恵を受ける労働者はごく限られている。ほとんどはインフレの影響を受けて、実質賃金が下がっている労働者だろうね。

 

これが政治なのである。政治家が悪いとか屑だとか、そういう話は愚の骨頂である。彼らはほくそ笑んでいるだけ。うるせーな愚民どもが騒ぎやがってと。

 

政治は主体的な行為である。自分の置かれている立場をしっかり認識し、自分の利益を代してくれる政党を見つける。なければ自分で立候補する。それが「政治」なのだ。

 

 

ちなみに古代ギリシャでは、生産活動に従事するものは奴隷であった。奴隷は選挙権を持たなかった。政治を行う時間がないので、選挙権を持ってても意味がなかった。投票率の低さを見ると、大半の労働者は選挙権を持っていないに等しい。現代はその時代とあまり変わるものではない。「みんな選挙に行きましょう!」みたいな標語、私は共感できない。奴隷は選挙に行かなくてもいいのだから。奴隷は生産活動だけを一所懸命するだけでいい。足手まといになるだけだからだ!

 

ブラック企業対策に国がついに動く!・・・なんか違う気がするのは私だけか?

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 厚生労働省は1日、過重労働や賃金不払いなど労働環境が劣悪な「ブラック企業」への対策を強化するため、東京、大阪の労働局内に、専門に取り締まる特別チーム「過重労働撲滅特別対策班」を設置した。
 塩崎恭久厚労相は1日の発足式で、「働く方が安心して活躍できるよう成果を上げてほしい」と強調した。

 

 

これに対してはさすがに賛同のコメントが多い。

 

しかしなぜか違う気がする。

 

ブラック企業というのは、相対的なもの

大体ブラック企業なんて言葉自体が曖昧なのである。

Wikipediaによると「労働法を無視、あるいは法の網や不備を悪用して従業員に長時間労働を強制する企業を主に指す」とある。

そもそも労働法を知らない経営者が圧倒的だし、世の中の正社員なら、違法状態かどうかはさておきほとんどが長時間労働に苦しんでいるだろう。

長時間労働だけど、やりがいがある仕事なら、その人にとってはホワイト企業だろうし、逆に残業代は出るが、パワハラが横行している職場があれば、人によってはブラック企業だろう。

結局は、人によって受け取り方によって変わるということ。相対的なものなのだ。

 

■国が動いてどうするの

となれば、例えば上記の例で行くと、長時間労働で残業代が出なければ当然違法なので、監督署は動きやすい。場合によっては是正勧告が出るはずだ。しかし、国が入ると、その会社がギスギスな職場に変貌する可能性がある。彼は長時間労働でも満足していたはずなのに、職場の空気が一変してしまい、働きづらくなるだろう。

逆にパワハラまがいの職場だが、パワハラの定義は曖昧なため、国がどうのこうのできる問題ではない。単に民事上での責任が出るだけであって、罰則とか、指導とか、そういったたぐいのことは国はできない。

対策対策いうが、根本的なところを理解しておかないと、結局はこういったところに無駄な税金が使われるということになるのだ。

 

■ブラックな働かせ方だと気づき、自分で是正していくしかない

誰かに頼りたい気持ちはわかる。国に助けてもらいたい気持ちは分かる。我が国では小さい頃より、ヒーローが街を救ってくれるような特撮やアニメなどを見せられて育ってきたこともあって、誰か助けてほしいと願いがちなのである。しかし、それは絶対に叶わないのだということをしっかり理解していただきたい。

 

やるべきことは、自主的に、今ある労働に対する不満を経営陣にぶつけることである。もちろん、それをやると嫌われるかもしれないし、嫌がらせに遭うかもしれない。だからこそ、労働三法という先人たちが創りあげた知恵を行使すればいい。単純シンプルなものだ。

労働の問題は、基本に立ち返って勉強する必要がある。そもそもブラック企業なんて今に始まった問題じゃなく、昔からあったのだから。

 

資本というものがあるかぎり、我々は資本に踊らされる。職場の人間関係も、労働時間も、全てが資本の支配下で作られたファンタジーのような世界だ。

しかし、そのファンタジーの世界でも生きていかなければならない。

人間らしい生活を目指すのであれば、闘って、闘って、自ら勝ち取るしかないのである。

 

 

 

・・・わかってはいるが、一体どうやって実践するのだという話だが